戦後の書壇を牽引した代表的な書家として名高い、辻本史邑書の千字文を楷行草3冊まとめて出品いたします。 「楷書」が昭和7年（1932年）、「行書」「草書」が昭和8年発行で、全て90年以上経年がある戦前のお品です。 判型が非常に大きく縦が36センチ近くもあり、現在大いに珍重される、いわゆる朝鮮本の大きさに似ています。 実際にこの本も朝鮮本の特徴である、綴じ穴を5つで綴じており、朝鮮本の大きさ美しさを意識して作成されたものかもしれません。 綴じはさらに角に通常の綴じよりひと手間多くかける、いわゆる「康煕綴じ」という方式を採用しています。 表紙は布張りで全体に非常に美しい造形で、やはり全体として朝鮮本の美しさを意識して作成したのではと推測いたします。 「楷書」に強くやけがあるページもありますが、全体の状態は非常によく、大戦を挟んで90年の経年があるとは思えない程の、ページによっては昨日今日刷られたばかりでは？と見まがうようなピカピカ感さえ漂うお品です。 枠の朱と、墨の黒とが美しいレイアウトです。 判型が大きな分、個々の文字も大きくお手本にも鑑賞にもとても良いものと思います。 なお、袋とじで表にしか印刷がありませんので、切り取って使うことも可能です。 実際に私（出品者）は、千字文全部を覚えることを志し、その一環で、版は異なりますがやはり戦前の辻本千字文を切り取って大きなパネルに貼りました。画像でその一部をお見せいたします。 ちなみにそんな作業も功を奏したのか、全部を貼り終えるまでには、千字文全文を暗唱していました。今でも全文を暗唱できます。 ともあれ鑑賞からお手本、また私のように切り取って大きく飾ることもできる、大変優れた千字文手本と思います。 これほどの状態が良いものが3冊がまとめて市場に出回ることは、今後も極めて少ないと思います。お探しでいらした方にぜひどうぞ。 注意事項 巻によって表紙の擦れ、綴じ糸の切れ、縁の傷みなどあります（画像）。 ページによってヤケシミがあります（画像）。 特に「楷書」は強いヤケがあるページが数枚あります。 反対に、綺麗なページは非常に綺麗で、90年以上の経年を全く感じさせない、タイムマシンで過去から届いたかのような新品感さえ漂う状態です。 総じて経年を考慮すると、残っているのが奇跡的な程のお品と思います。